AIがとうとう“社員”になった。毎朝8時、freeeの口座同期を無人で回す

AIがとうとう“社員”になった。毎朝8時、freeeの口座同期を無人で回す

これまでこのブログで、大家業の事務作業をAI(Claude Code というAIアシスタント)に手伝ってもらう話を何度か書いてきました。収支報告書のダウンロード月次仕訳の登録。どれも「私が席に着いて、AIに話しかけて、一緒に作業する」スタイルでした。

便利なんですが、よく考えるとこれは「優秀なアシスタントに隣に座ってもらっている」状態です。私が呼ばないと動きません。出社しているのは、あくまで私の方でした。

今回からは、ここが一段変わります。AIに、24時間動いているサーバーへ“出社”してもらうことにしました。毎朝決まった時刻に、私が何も言わなくても自分で仕事をして、終わったら結果を Discord に報告してくる。指示も承認も要りません。やってみて、これはもう「アシスタント」ではなく「社員」だな、と素直に思いました。

その第1号社員に任せたのが、今日の題材です。

地味だけど毎日サボれない「口座同期」

弊社は会計に freee 会計を使っています。freee は銀行口座やクレジットカードと連携していて、明細を自動で取り込んでくれます。ただし、この自動取り込みは即時ではありません。実際には数日遅れて入ってくることが日常茶飯事で、「昨日の入金がまだ会計側に出てこない」という状態が普通に起きます。その日の最新まで反映させたいなら、freee のホーム画面にある「全口座を同期」ボタンを自分で押す必要があります。

1日サボったところで世界は終わりません。が、押し忘れが続くと、後でまとめて確認するときに「この入金、いつのだっけ」と記憶をたぐる羽目になります。家賃の着金確認も遅れます。1回15秒で終わるのに、毎日発生して、しかも忘れやすい。事務作業の中でも一番「人間がやる意味のない」タイプの仕事です。

これを、毎朝8時にAIが無人で押す。それだけの仕組みを作りました。

やったこと:AIの“出社先”を整える

仕組み自体はシンプルで、「freee にログインして同期ボタンを押し、結果を Discord に通知する」という手順書(スキル)を、サーバー上で毎朝1回自動実行するだけです。手元のMacではすでに動いていたものを、サーバーへ引っ越しさせた格好です。

ただ、この“引っ越し”が地味に手間でした。正直に書いておきます。

1. ブラウザを操作する足回りをサーバーに入れる

このスキルは、人間の代わりにブラウザを動かして freee にログインします。サーバーには画面がないので、画面なしで動くブラウザと、それを操る道具一式、さらにそれが動くためのOSの部品を入れる必要がありました。ここは一度入れれば、今後ほかの「ブラウザを触るスキル」でも使い回せる共通の足回りになります。最初の社員のために整えたオフィス設備を、次の社員以降も共用できる、というイメージです。

2. サーバー側のAIが“型落ち”に見えた問題

サーバーに入れていたAIが、画面上は1世代前のモデルまでしか選べないように見えました。調べると、実際には最新モデルも動く状態で、ただ選択メニューに出ていなかっただけ。設定で最新を明示的に指定して解決しました。「新人のPCが古いスペックに見えたが、実は設定の問題だった」みたいな話です。

3. 鍵(認証情報)を安全に渡す

freee のログイン情報や通知先は、当然ながらソースコードには含めていません(公開する場所に鍵を置かないのは鉄則です)。この秘密ファイルだけを別経路でサーバーに渡し、本人以外読めない権限に絞りました。

4. 出社時刻の調整

当初は朝7時に設定しましたが、「今日から動作確認したいので8時に」「他の自動処理と時間が重なるとサーバーが苦しいので少しずらそう」と、現場合わせで微調整。最終的に、ほかの自動ジョブと数分ずらした朝8時すぎに落ち着きました。

翌朝、無人で動いた

設定の翌朝、8時すぎにスキルは予定どおり無人で起動しました。freee にログインし、全口座の同期を開始し、その時点の未処理件数を Discord に通知して終了。起動から通知までは10分弱でしたが、その大半は「同期ボタンを押したあと、銀行側の取り込みが進むのを待っている時間」です。実作業(ログインしてボタンを押す)自体は一瞬で、あとは待ち上限まで待って、その時点の状態を報告して閉じる、という動きでした。私は何も操作していません。Discord に通知が届いているのを、コーヒーを飲みながら眺めただけです。

この「結果が Discord に届く」という部分が、個人的にはこの仕組みの肝だと思っています。社員に仕事を任せても、マネジメント(報告を受けて、おかしくないか確認する)は手元に残す。Discord 通知は、その社員からの“日報”です。任せきりにするのでも、自分で全部やるのでもなく、「やってもらって、結果を見る」。この距離感が、安心して任せられる落としどころでした。

考えてみると、これは特別な発明でも何でもなく、会社で人に仕事を任せるときの構図そのものです。マネージャーと社員、リーダーとメンバー。仕事を渡し、任せ、日報で報告を受け、おかしければ手を入れる。私はいま、AIに対してまさにそれをやっています。弊社(株式会社PaPaPa)は私ひとりの会社ですが、口座同期という仕事に関して言えば、担当者がいて、私はその上長として日報に目を通す——という、小さな組織がもう動き始めている感覚です。AIを「便利な道具」ではなく「組織のメンバー」として捉え直すと、次に何を任せられるかの発想がぐっと広がります。

まとめ:アシスタントから、社員へ

これまでのAI活用は、「優秀なアシスタントに手伝ってもらう」段階でした。今回からは、「決まった仕事を、決まった時刻に、無人でやってくれる社員」に一歩進みます。出社も、指示も、承認も要りません。私の仕事は、上がってきた日報(Discord通知)に目を通すことだけです。

物件が増えるほど、こういう「毎日発生する・忘れやすい・人間がやる意味のない」作業はじわじわ積み上がります。それを1つずつ社員に渡していければ、保有規模を増やしても事務で潰れずに済む。そう考えています。

個人的に一番おもしろいと感じているのは、ここです。少し前まで、事務作業を誰かに渡したければ、オンライン秘書や事務代行を「雇う」しか選択肢がありませんでした。求人を出し、面接し、教え、毎月人件費を払う。だから多くの個人大家は「人を雇うほどでもないし、自分でやるか」と、事務を抱え込んだまま規模を止めていたと思います。

それが今は、社員を自分で“つくり出せる”時代になりました。手順書を日本語で書いて、サーバーに置いて、出社時刻を決める。それだけで、その日から黙々と働く担当者が1人増えます。採用も教育もいらないし、辞めません。雇うのではなく、必要な仕事ごとに社員を生み出して組織を組み上げていく——その世界観が、やっていて素直にワクワクします。

今回任せたのは、口座同期という一番シンプルな仕事でした。次回は、もう少し判断を伴う仕事——スキャンした書類を毎日自動で仕分けてくれる“2人目の社員”の話を書く予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。同じように事務作業に押されている大家さん仲間の参考になれば幸いです。

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