物件に通う大家の1日 — 消防点検、除草、建物点検、共用部清掃と注意文配布

「大家ってどんな仕事をしているんですか?」と聞かれたとき、いつもうまく答えられません。
物件を買って、入居者さんに貸して、家賃をもらう。文字にすると3行で終わるのに、実際は経理・契約・修繕・清掃・点検・告知・近隣対応……と、引き出しがやたら多い仕事です。しかも物件が増えるほど、1つひとつは小さい仕事がじわじわ積み上がっていきます。
今回から、その「実際にやっていること」を1回1テーマで書いていくシリーズを始めます。シリーズ名は 「大家業の中身」。経理、現場管理、修繕、税務、契約、退去、空室対策……、自分が普段やっている仕事を、できるだけそのままの粒度で公開していきます。
最近、freee と AI を組み合わせて月次仕訳を半自動化する話 と、管理会社のオーナーポータルから収支報告書をAIにダウンロードさせる話 を続けて書きました。経理がAIに任せられるようになって、土曜日が空くようになったのです。じゃあその空いた時間で大家が何をしているのか、というのが第1回のテーマです。
今回の現場:シティハイムサンガーデンA(千葉県佐倉市)
5月9日(土)、晴れ。千葉県佐倉市にある所有物件のひとつ、シティハイムサンガーデンA(以下、シティハイムA)に定期の現場チェックに行ってきました。

この物件は管理会社さんが入ってくれていて、共用部の清掃はご近所ワークというサービスを使って、地元の方に隔週でお願いしています。私のほうは、管理会社さんと清掃の方の守備範囲では拾いきれない部分を、自分で定期的に通って整えていく役割分担です。自宅のある横浜からは少し距離があることもあって、シティハイムAについては数ヶ月に1回のペースで通っています。
今回の作業は13時から17時までの4時間。実施した仕事は大きく5つでした。
- akippa(時間貸し駐車場)の案内看板を設置
- 消火器の半年に1回の点検
- 物件まわりと所有持分のある私道の雑草除草
- 物件巡視・清掃・外観点検
- 共用部の物放置に関する注意文を急遽作成して全戸配布
順番に書いていきます。
① akippa の駐車場看板を設置
シティハイムAの駐車場のうち2区画は、akippa という時間貸し駐車場サービスにも貸し出しています。月極だけだと埋まらないコマを、空き時間だけ別の利用者さんに貸して稼働を上げる、というやつです。
これまで看板がない状態だったので、利用者さんが「どこに停めれば良いか分からない」となりがちでした。今回、akippa から送られてくる案内看板をフェンスに設置完了。入居者さんから見ても「この区画は時間貸し」とひと目で分かるようにしました。

取付けには結束バンド(15cm)を使ったのですが、フェンスの上側に通そうとすると長さがちょっと足りない場面がありました。次回までに25〜30cmの長めもストックに足しておこうと思います。こういう「あと一歩」が出てくる作業道具の整備、地味に大事です。
② 消火器の半年に1回の点検
消防法上、消火器は半年に1回の点検が義務になっています。シティハイムAでは1階・2階に1本ずつ設置していて、点検カードに日付を書き入れ、目視で外観・本体・ホース・圧力ゲージをチェックします。


この点検には、総務省消防庁が公式に出している「消防点検アプリ」(iPhone) を使っています。点検項目をアプリ側がガイドしてくれて、最後に PDFで点検報告書を出力できるので、それをそのまま Google Drive の所定フォルダに保管する運用です。
無料・公式・記録までPDFで残せる、というのが効いていて、自分で消火器点検を行う大家さんには地味に役立つツールだと思っています。この使い方自体は、次回以降の記事で書こうかなと思っています。
③ 雑草除草(今回のメイン作業)
今回のメインは雑草除草でした。物件まわりと、所有持分のある私道の2か所を一気に処理します。
5月のこの時期にやっておく理由は明確で、夏前なら雑草の背丈がまだ低く、引き抜きと削り取りで一気に進められるからです。夏になって本格的に伸びてからやると、作業時間が倍以上に膨れます。
変化が分かりやすいので、Before / After で写真を残しました。
駐車場まわり


所有持分のある私道


物理的に抜くだけでなく、除草後に除草剤を散布して夏に備えるところまでがワンセット。これで7月8月にもう一段抑えやすくなります。
④ 物件巡視・清掃・外観点検
除草の合間に、敷地内をぐるっと回って物件全体の状況をチェックしました。基礎・外壁を中心に、不具合のサインが出ていないかを見ていく時間です。
歩きながら、隔週清掃ではカバーしきれない範囲のものも拾っていきます。今回見つけて対応したのは大きく4つでした。
a. 共用部に放置されていた傘

b. 駐車場の残置物

c. ゴミ置き場の看板落下+粗大ゴミ

d. 敷地内に放置されていた瓦礫(ガラ袋3袋分)

最終的に ゴミ袋3袋+ガラ袋3袋分の瓦礫+少量の粗大ゴミ を撤去・持ち帰り。瓦礫は処分先を確定させてから処理する予定です。
セスキ炭酸ソーダのスプレーが新装備になりました
今回の現場で1番効いた発見が、セスキ炭酸ソーダのスプレーです。
落下していたゴミ置き場の看板を再設置する前に、試しにセスキスプレーとウエスで拭いてみたら、油汚れも黒ずみも一気に落ちて、新品みたいに復活しました。フェンスの一部にも吹いてみたら、これもきれいに落ちる。今日から大家の標準装備に決定です。
いつかフェンス全面のセスキ磨きもやってみたいところ。「大家業の中身」シリーズの後の方の回で、Before / After を撮ってまとめてみたいなと思っています。
外観点検で見えてきたこと
外壁をじっくり見て回って、いくつかのサインが目につきました。
- 外壁のチョーキング(白い粉が手につく現象)が進んでいる
- コーキングが硬くなり、ひび割れも見られる
このあたりが揃ってくると、外壁塗装の検討時期です。すぐ実施という話ではないですが、次の大規模修繕タイミングを意識して、複数業者から見積もりを取りはじめるフェーズだなと感じました。
あわせて、以前の屋根調査で「枯れ草が樋(とい)に溜まっている」との指摘をいただいていたので、樋の清掃もそろそろ手を入れたい。次回以降の現場チェックの宿題に入れておきます。
⑤ 共用部の物放置に関する注意文を急遽配布
巡視している中で、駐車場や共用廊下にちょこちょこ私物の放置が見られました。自転車・段ボール・収納用品など、人によって違うものが置かれている状態です。
このパターンは早めに手を打ったほうが良い、というのが経験則です。1つ許容すると周りも追従しやすく、火災時の避難経路の確保にも関わってきます。
その場で文面を組み立てて、コンビニで印刷 → 全戸ポスティング まで当日中に完了させました。タイトルは「共用部の私物放置に関するお願い」。きつい言葉は使わず、事故・災害時のリスクと、改善が見られない場合の管理側対応をやんわり書いた1枚です。
この手の文面、毎回ゼロから作るのも非効率なので、「大家業の中身」シリーズの中で、テンプレートとして公開していこうかなと考えています(その用途で papapa.jp 内に「大家向けテンプレート集」ページを立てる予定です)。
やってみての気づき
シティハイムA 5月度の現場仕事を、4時間で一通り回した感想です。
- 管理会社 × 隔週のご近所ワーク清掃 × 大家の定期チェックの3層構造はワークしている。 管理会社さんが日々の窓口を担い、ご近所ワークさん経由の地元の方が共用部を整え、私が定期で「そこから漏れた一段深い部分」を拾う、というレイヤー構造で物件のコンディションが上がる
- セスキスプレーは標準装備に追加決定。 看板・フェンスの汚れに即効性あり、コスパも良し
- 外壁塗装のサインは出はじめている。 来期以降の大規模修繕計画に組み込む
- 物放置への一次対応は当日中に文面を出すのが効く。 タイミングが遅れるほど常態化する
- 「経理は AI、現場は自分の足」の両輪が回りはじめている。 経理を AI に任せられるようになった からこそ、こうやって現場に時間を使えるようになった
次回以降の「大家業の中身」シリーズで書きたいこと
このシリーズは1回1テーマで、ペースを決めずに気長に書いていきます。今のところ書きたいネタはこのあたり:
- 消防点検アプリ(iPhone)の使い方 — 自分で消火器点検を行う大家さん向けの実務ガイド
- 大家向け注意文テンプレート集 — 共用部物放置、騒音、ペット、ゴミ出しなど
- 不動産取得時の決済仕訳の中身 — 経理AIシリーズの続編
- 退去立会いの実務フロー — 立会いから原状回復見積もりまで
- 物件別の現場チェックレポート — 今回のような形で別物件も順次
「大家業の中身」シリーズと、業務効率化(AI)シリーズの両輪で、papapa.jp を育てていく予定です。
次回もよろしくお願いします。
書いた人: 株式会社PaPaPa/宗定 洋平 神奈川を中心に物件12件を保有しています。管理会社さんと一緒に運営しつつ、清掃や定期の現場仕事は自分でも動く、半・自主管理スタイルの大家です。経理は Claude Code(AI)に任せ、現場仕事は自分の足で回す両輪を回しているところ。X(@FudosanK)でも日々の運用を発信しています。