高い稼働率には裏がある!?計算方法から見抜く本当の賃貸経営力

「稼働率99%達成!」
「空室ほぼゼロ!」
そんな言葉を見かけると、「この管理会社、いいかも」と感じる方も多いのではないでしょうか?

ですがちょっと待ってください。
その“稼働率”、どのように計算された数字でしょうか?

稼働率(=入居率)は、賃貸経営において非常に重要な指標です。
しかしその計算方法にはいくつかのパターンがあり、使う基準や視点によって、見え方が大きく変わってくることもあります。

この記事では、代表的な稼働率の計算方法を紹介しながら、
「稼働率が高い」という言葉の裏にあるカラクリや注意点を解説していきます。

数字を正しく読み解くことができれば、管理会社選びの目も養われ、
思慮深く・堅実な大家として一歩前進できるはずです。

そもそも「稼働率」とは?

稼働率とは、保有している部屋のうち、実際に稼働(=入居)している割合を示す数字です。
不動産管理会社の営業資料やホームページなどでよく見かける「稼働率99%」「空室ほぼゼロ!」といった表現は、この数値をもとにしています。

ただし、稼働率の計算にはいくつかの手法があり、使う基準や視点によって、見え方が大きく変わることがあります。
つまり、同じ物件・同じ入居状況でも、稼働率の「見せ方」はコントロールできてしまうのです。

① その稼働率、いつの時点の数字?瞬間風速に注意

まず注目したいのが、「稼働率の集計期間」です。

● 年間ベースの稼働率

1年を通して平均的な入居状況を表すため、物件や管理会社の運営力を正しく反映しやすいのが特徴です。
繁忙期や閑散期、入退去の波も含めて評価するため、長期的な視点で比較したいときに適しています。

● 瞬間ベースの稼働率

「今この瞬間での満室率」を示す数字です。
例えば、繁忙期(3〜4月)直後などは一時的に稼働率が非常に高くなる傾向があります。

管理会社によっては、この瞬間的な高稼働の時期を切り取って「99%」とアピールしている場合も。
この数字だけを見て判断するのは要注意です。

② 計算方法の違いにも要注意

● 日数ベースの稼働率(一般的)

もっとも多く使われるのが、延べ日数で計算する方法です。

(例)10部屋 × 30日 = 300日が総稼働日数。
実際に入居していたのが270日なら、稼働率は90%。

正確性が高く、細かい推移も把握しやすいため、多くのオーナーがこの方式を採用しています。

● 金額ベースの稼働率(実収入との連動)

こちらは「満室想定の家賃収入」と「実際の収入」との比較によって算出する方法です。

(例)アパートで全室満室なら月40万円 → 実収入が38万円なら稼働率95%。
金額が大きい部屋(ファミリータイプなど)が空いていると、数字が大きく下がるのが特徴です。

この方法は、収支の実態に即しているため、大家目線では現実的ですが、
一方で「管理会社としての客付け力」を評価するには不向きなこともあります。

③ フリーレント期間は「入居」?それとも「空室」?

もう一つ注意したいのが、フリーレント(家賃無料期間)を稼働に含めるかどうかという点です。

フリーレント期間も「入居」として扱う場合は稼働率は高く見えがちになります。

なお筆者としては、フリーレントはあくまで「販売促進費」の一種であり、入居者がすでに住んでいるならば「稼働中」と見なして問題ないと考えています。

ですが、賃料は生み出していないのは事実ですので、それが気になる大家さんの場合は「入居率にフリーレントは考慮されているのか」を管理会社の営業に確認するのも良いかもしれません。

まとめ:数字の裏側を見抜ける大家になろう

稼働率という数字には、さまざまなカウント方法や解釈が存在します。
「稼働率が高い=優秀な管理会社」とすぐに判断せず、その数字がどう算出されたものなのかを確認する習慣を持ちましょう。

そうすれば、数字に振り回されることなく、落ち着いた判断ができるようになります。

思慮深い大家になる第一歩は、「数字の裏側に目を向けること」から始まります。

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